『グエムル〜漢江(ハンガン)の怪物』

  『グエムル〜漢江(ハンガン)の怪物』という映画をレンタルDVDで観ました。「グエムル」は「怪物」という漢字をハングル読みしたもので、「ゴジラ」「モスラ」のような固有名詞ではありません。「グエ」の「ウエ」は韓国語固有の二重母音ですし、「ムル」の「ル」は語尾の子音です。「グエムル」というカタカナ表記は不自然ですが、韓国語のカタカナ表記は難しいので仕方ありません。『グエムル』という題だけで韓国人は「得体の知れない怪物」というイメージを抱くのだと思います。『漢江(ハンガン)の怪物』というのは日本向けのsubtitleです。

 在韓米軍がホルムアルデヒドを大量に漢江(ソウル市内を流れる大河)に流した結果、川魚が突然変異して怪物となり、ヨイド(漢江の中州、韓国の政治・経済の中心地)付近に潜んで突然川岸に現れては人を襲うようになりました。川岸で憩う観光客用の売店を営む一家の中学生の娘がグエムルに突然さらわれ、娘の父親、祖父、叔父、叔母が力を合わせて娘を助け出そうとするが、、、という物語です。

 娘が生まれるとすぐ母親は出て行ってしまい、家族が力を合わせて娘を育ててきたので皆娘への愛情を強く持っていて、それぞれアーチェリー、元学生運動活動家としてのコネと特技!?、財産をはたいて購入した武器等々を駆使して奮闘します。特に技能のないダメ親父である父親は娘への一途な愛情で突進します。しかし、、、。

 朴正煕時代の韓国の高度成長は一時「漢江の奇跡」と日本でも持て囃されました。韓国の繁栄の象徴である漢江しかもさらにその中心であるヨイドに巣くい、時々現れては人々を恐怖の陥れるグエムルとは一体何の寓意であるのか、と云々する向きもあるようです。政治的寓話としての解釈も確かに可能でしょう。たとえば「アメリカが流した反共主義の残滓」といった。

 まっ、カタイことは言わず、最新の高度なCGを駆使した娯楽ファミリー映画として楽しめばいいのではないでしょうか。

 

2007.2.20更新

 

 

十三夜日記




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